* * *


「…で、出来てしまった…」

次の日の朝。

見事なまでに完璧に作られたチョコレートが目の前にあった。
渡す確率はほぼゼロパーセントだというのに、こんなにも完璧に出来てしまうなんて。

神様は意地悪だ。

慣れない手つきでラッピングをして、そっと鞄に忍ばせる。

「一応、持っとくだけ。
念のため持っとくだけだから!渡さないけど!」

誰に言うでもない言い訳を大きな声で言って、玄関を飛び出した。