「ああ。うーんとね。海で出会った」
「海で? え、ナンパ?」

海での出会いというと、ナンパみたいな軽い出会いしか浮かばない。

「……ナンパ? うーん。ナンパというより、本気?」

彼は言いながら首を傾げる。ナンパではなく本気の気持ちで声をかけたと言いたいようだ。

「本気?」
「うん。俺ね、朝ちゃんを初めて見たとき、天使に会った気がしたんだ」
「……あ」

柚月は以前、ハローくんが人に天使を感じたことがあるといった話を思い出した。朝芽先輩のことだったのかと改めて驚く。

「すごくドキドキして。だから、声をかけて友達になってもらったんだ」
「……ドキドキ」

ハローくんのいうドキドキというのはきっと、柚月が今一緒にいて感じている気持ちのことを言っているような気がしてならない。
そうなると答えを導くのは簡単だった。

「そっか、朝芽先輩のこと好きなんだね」
「え? なんでわかっちゃうの?」

素直すぎる反応に、胸がズキンとした。