美織は病室に向かうと言うので、その場で話を続けた。

「美織ちゃんから聞いた。柚月のこと喧嘩に巻き込んだんだってな」
「だから? お前には関係ねーだろ」
説教は勿論嫌いだが、関係ない奴にされると余計に腹が立つ。
「関係なくない。自分の大事な人が危険な目にあったなんて聞いたら、心が痛むのが普通だろ。
俺が別に言う権利はないけど、できれば仲良くしないでほしい。
またこんな目に合わせたら、お前のこと許せそうにないし。
今後、こんなことが起きないと言い切れる?」
自分のことは自分で守れる。だけど柚月がまたこんな目に合わないとは言い切れなかった。
現にさっきだって、喧嘩を売られたばかりだし、そう考えて口をつぐむ。

「三波、柚月のこと好きなのか?」
「はっ?」
「こうして見舞いに来るのは巻き込んだ罪悪感? それとも好意があって?」
「なんでそんなことお前に言わなきゃいけねーんだよ」
「今はゆっくり身体を休めてほしいから、罪悪感だけできてるなら、来ないでほしいと思って」

罪悪感だけではないが、須長くんに本心を伝える気持ちはなかった。