ハローくんがプリンを勧めると柚月は、
「後で食べるね。冷蔵庫に入れてもらってもいい? あ、そういえば、他にもママが色々買ってきて。良かったら、食べて。たぶん全部食べれないから」
「いただきます」と桃のゼリーを手に取り、もくもく食べだすと、やっぱり口元についてる。
食べ方、汚いわけじゃないのにどうしてそんなにつくんだろうねと柚月はクスクス笑った。
柚月はふとこの時間が愛おしくて胸がぎゅっとなる。
ああ、そうか、たぶん、小さい頃に入院していた自分と今の自分を重ねてしまってるんだ。
一日、一日が辛くて尊かった。
自然に呼吸が出来ているこの瞬間が、本当に愛しくて、涙腺が緩む。
身体が弱っていたせいか、情緒不安定な気持ちが顔を出してくる。
そんな柚月に気がついたのか
「ゆづちゃん?」
と、名前を呼んだ。
慌てて笑顔をつくるけど、ぎこちなさが伝わってしまい心配になる。
「調子、良くない?」
「ううん、そうじゃないんだけど。また色々思い出してきて」
「辛いこと?」
泣きそうな表情に気づいて尋ねる。
「どうだろう。辛かったけど、幸せも感じてたかな。ねえハローくんはさ、独りって思ったことある?」
「独り?」
「うん。孤独って意味」
「……」