ベッドの脇にあった椅子に座ると、
「食欲ある?」と尋ねる。
「うん。食べれるようになったよ」
「これ、お見舞い」
ハローくんが持ってきたのは柑橘系のジュースとさつまいものプリンだった。
それを見て、柚月は笑みをこぼした。
「どうしたの?」
「ハローくん、私から何かもらう度に数を数えてたよね。三分の三までいったけど、今日、全部返ってきたなって思って」
「あ、確かに」
無意識で同じようものを渡していたことがおかしくて彼も笑った。
花瓶に水を入れてハローくんが戻ってくる。
窓辺に置くと、花が笑って見えた。
懐かしさを感じる光景に、柚月は目を細めた。
「気に入った?」
「うん。なんか病室でお花を見てると昔を思い出すなって今、懐かしくなっちゃった」
「昔?」
「私ね、小学生の頃、入院したことがあって。
けっこう長期だったんだけど。
そのときにね、おばあちゃんがいつもお花を持って来てくれたんだ。
それがすごく嬉しくて、いつも元気もらってたの。
だから、お花にはそういう力があるんだって今も思ってる。
だから嬉しい。ありがとう」
素直な気持ちを伝えた。
「うん。だってお花には天使がいるからね」
「そう。天使がいるから。妖精も」