熱はすっかり下がった。
ハローくんがお見舞いに来てくれるというのは嬉しかったけど、照れ臭くて会いづらい思いもあった。
というのも、意識を失う前、熱のせいもあるが勢い任せで伝えたい思いを話してしまったせいだ。
言いたいことが伝わっていない気もしているけど、あれをどう受け止めたんだろう。
それともうひとつ、ハローくんに抱きしめられたことも忘れられなかった。
泣いていたから、落ち着かせようとしたのかもしれない。
その真意は柚月にはわからないけど、何度も思い返しては恥ずかしさと嬉しさがこみ上げてくる。

だけどと冷静にもなる。
今日ここに来るということは病状を打ち明けることになると思う。
そうしたらきっと、美織も心配していること――私の中に彼の大事な人がいるかもしれない――それを訊かなければいけなくなる。





時計と身だしなみを何度も確認していると、扉がノックされた。
顔を覗かせたのはハローくんで、「ゆづちゃん」と笑顔を見せた。
手にある花束に気がついて、喜びが溢れた。

「すごい。もしかして保奈美さんの?」
「うん。ゆづちゃん喜ぶと思って、癪(シャク)だけどお願いした」
母親のこととなると素直ではないが、そんなハローくんも可愛らしかった。
向日葵がメインで、黄色のビタミンカラーが元気をくれそうだ。