「ちょっと、春―」
ハローくんはソファに横になり、考え事をしていた。
柚月を自宅に送ってから、美織に言われたことが参らせていた。
事情を軽く説明すると、柚月は免疫抑制薬を服用してるからウィルスに感染しやすいんだからとすごい剣幕で言われ、罵られた。
その薬を服用している理由までわからなかったが、ただの風邪で収まらない可能性もあるのかもしれない。
ただ携帯が鳴るのをじっと待っていた。
母親に「春生(ハルオ)」と本名で呼ばれ、ハローくんはにらみ返した。
保育園で老人ホームの敬老会に行った際、おじいちゃんおばあちゃんが好きだという北国の春を発表させられたのだが、その歌手と同じ名前というだけで、演歌歌手とバカにされてから名前もそうだが、フルネームで呼ばれるのが最も嫌いになった。
「さっきから何回、呼んでも返事がないから」
「なんだよー?」
「なんか今日ね、柚月ちゃんからお店の方に連絡があって、来週うちのお店でやるワークショップ行けなくなったって言うんだよね。
体調が優れないとか言ってたけど。大丈夫かな? なんか知ってる?
柚月ちゃん、クリスマスリース作るのすごい楽しみにしてたのになぁ。早く良くなるといいね」