そしてついに旅行日当日。
死神だとバレないようにカツラとカラコンは常備し、
アクセサリー類は外して出発した。
「ねぇねぇ真。
あれ美味しそうだね。」
「食べるか?」
「うん…!」
チャリーン
パクッ
「美味しい♡
はい!真も一口どうぞ♪」
「あぁ、ありがとう。」
カブ
「うん。美味いな。」
「〜♪」
そんな事をしながら集合場所に歩いた。
もう内二人は着いているようで、
こちらを見つけると手を振ってきた。
「二人ともおはよう〜」
「Zz〜」
「おはよう。
…喋るのは初めてですね。
七瀬 海(ななせ かい)です。
よろしくお願いします。」
「神夜 真。よろしく。」
挨拶してくれたのが龍神の参謀担当の蒼龍。
寝ているのが龍神の特攻隊長担当の巨龍、
佐島 瀧(さじま たき)。
この姿でちゃんと会うのは初めてだ。
「瀧寝てんじゃん〜
てか時間通りに来てるの四人だけかよー」
「いや、あっちに詩音と瑞樹がいるよ。」
「お、てことは鱗だけ?」
「そうだね。
でもあともう少しで…あ、話していたら来たよ。
…おはよう鱗。」
「おはよ〜」
「…あぁ。」
龍神の現総長の神宮 鱗(かなみや りん)。
噂通りの無口さだな。
あ、俺も人のこと言えないか。
「ねぇねぇ真。
あれ食べたいな…」
「食べるか。」
「うん!」
雷はいい返事をすると、
俺の腕にもっと寄りかかった。
俺達が戻ると全員集まっていた。
「よし、全員集まりましたし行きますか。」
「はーい/おう〜/いぇーい/ん…/Zz〜」
と言いながら各々荷物を持ち歩きだす。
「はい、座席券です。
皆取ってくださいね。」
俺が取り席に座ると隣に雷と詩音が…
俺の席の隣は一つ。
本当にこの二人は…
「雷はいつも一緒で飽きてるんじゃない〜?
私と真は仕事の話もあるし〜」
「いやいや旅行に来てまで仕事の話は興が削がれるでしょ〜
それに鱗の隣空いてるからそこ座ればいいよ〜」
「真くんモテモテですね。ふふ。」
七瀬、楽しんでるな…。
仕方ない。
俺は席を立ち神宮の隣に座った。
「え、ちょ!
それだと二人ともの隣に座れないよ〜」
「そうだよ真〜」
俺は二人に顔を向け一言いった。
「うるさい。」
「うっ/あぅ」
それからは二人の視線以外は静かなものだった。
神宮はずっと寝ていて。
俺も本を読んで過ごした。
一時間程すると片方の肩が重くなった。
神宮が寄りかかったようだ。
本当によく寝ているな。
俺は自然と手を伸ばし頭を撫でた。
依然として落ち着いた呼吸をしていた。
雷よりデカい弟みたいだな。
そんなことを思いながらまた本に視線を戻した。
_________
「ご乗車ありがとうございました。」
「神宮、起きろ。
目的地に着いた。」
「ん…」
そう言いながら頭を肩にグリグリしてきた。
暫くするとピタリと止まった。
「すまない。寝ぼけていた。」
「…あぁ、おはよう。」
寝起きの姿が本当に可笑しくて自然と口角が上がった。
「鱗ずるいよー
起きて一番に真の笑顔見れるとか…」
「私も真の肩で寝たい〜」
「ほら二人とも、
他の人に迷惑だからさっさと準備しろ。
神宮も、ちゃんと起きろ。」
少しボーっとしていた神宮の頭をぽんぽんする。
「…」
のそのそと動き出したのを確認し、
俺も降りる準備をした。