暫くすると、勢いよく野バラが顔を上げた。


上げた顔は俺の目をしっかり見た。


俺も野バラを見ると、目にはいっぱい涙を溜めていた。


俺は泣いている理由が分からず戸惑った。



「野バラ、なんで泣いてるんだ?!


そんなに俺の行動がダメだったか?!」




野バラはぶんぶんと首を振り否定する。




「違うんだ。


死神っ、ごめん!


あたし、あたしの事なのに何も出来なくてっ!


死神がいなくなって凄く心細くて、

死神が、

早く戻ってくるようにって、

ずっと思ってたっ…!


ごめん。

あたし…!

死神があたしの為に、動いてくれてたの知らなくて…!」




野バラは詰まりながら話した。


なんだそんな事か。

そんなことで泣いてるのか。




「…ったくほんとに、

お前は考えすぎなんだよ。


そんなことで泣かなくていいんだ。


これは俺が勝手にしたことだ。


ほら、大丈夫だから。」




そう言っても泣き止まない。


仕方ない。


俺は、抱きついていた詩音を離し、

いつの間にか下を向いていた顔を両手で挟み、

俺の方に向かせる。




「詩音。


俺は、お前の笑顔のために頑張ったんだ。


その笑顔を、俺には見せてくれないのか?」




そういうと、詩音はハッとなり、涙を拭う。


そして、俺の方を向いて笑った。




「ん。いい笑顔だ。」




自然と頬が緩む。




「…うん////

ありがとう!死神!」