俺は夢を見た。
生々しい、過去の夢だ。
俺の親は株主だった。
俺は親から元手を貰い、
親に投資のやり方を教わり、
自分で試行錯誤し投資してきた。
そうしていたら、
いつの間にか大株主として仕事をしていた。
こればかりは本当に親に感謝している。
おかげでお金に困ることはないし、
雷を養うことも出来る。
自分の思うように生活出来ている。
そして場面は代わり、
月夜会社(つきよ)。
この会社は、
手広く色んな商品を取り扱っている。
大手チェーン店だ。
その会社の社長は、
詩音の父親だ。
あの人は、
あの日から正気ではなくなった。
俺は小さい頃、
親に連れられて、
パーティーに参加したことがあった。
夜月迅は、
俺たち連れられてきた子供と遊んでくれた。
その頃は凄く優しかった。
だが詩音の母。
詩笑さんが亡くなってからおかしくなった。
前までは笑顔を見せていた。
それが嘘だったかのように、
笑顔を一切見せなくなった。
そして、
昔は子供好きでよく遊んでくれていたが、
子供を見ると不機嫌になるようになっていた。
それを皮切りに、
仕事でやることもおかしくなっていった。
高木組や、
法律に反している組織と手を組み、
その手を染めた。
会社を大きくするにはどんなことでもやっていた。
それが、
人の道から外れることでも。
詩笑さんは、
詩音を守る為に亡くなった。
夜月家に泥棒が入り、
その泥棒に出くわした詩音。
泥棒は気が動転し、
近くにあったツボを詩音に投げた。
だが詩音には当たらず、
詩音を庇った、詩笑さんの頭に当たった。
泥棒はすぐ逃げたが後に捕まり、
詩笑さんは即死だった。
詩音は野バラの時に言った。
「私があの時に死んでいればよかったのになぁ。
そしたら、
こんなに苦しむこともなかったのかも。」
「お父さんは私のことを許さないよ、絶対。
お父さんはお母さんのこと、
凄く好きだったから。」
子供に、
こんなことを言わせる親がいるのか。
子供は、無邪気に遊ぶものだろう?
なぜ子どもの詩音が苦しそうに笑う?
なぜ詩音は死んだ目をしている?
これじゃあ、
死んでるも同然じゃないか。
お願いだ、詩音。
心から笑ってくれ。
俺が守る、
だから、
生きることを諦めないでくれ。