「ご馳走様でした。」
「はい。
お粗末様でした。」
俺は朝食を食べ終わると、
雷達のいるソファに座る。
「どっちだ?」
俺が聞くと、雷が答えた。
「今東堂さんの番で、
俺は白だよ。」
今は後半で、黒の方が多い。
「俺最初はいいんだけどねー、
後からどんどんひっくり返されるんだー。」
「だろうな。」
俺がそう言うと雷がはっとして俺を見る。
「真!秘訣教えて!」
「あぁいいけど、
これが終わってからな。」
「はーい。」
何手か打つと終わった。
「真ー、負けたよー。
教えて〜」
雷は俺の膝に頭を乗せた。
「あぁ。」
俺は雷の頭を撫でながらそう言う。
「まず、
最初に多く取ってはほとんどの確率負ける。」
「えぇ!まじか!」
雷は飛び起きて俺を見る。
「ん。
最初は少しだけとることに専念する。
まぁ、途中で全滅させられない程度にな。
それから、隅は一番とりたい場所だ、
置ける時は置け。
それから…」
聞いていた雷が突然遮った。
「ちょっとタンマ!
メモるからゆっくり言って!」
雷は自由帳をどこからか持ち、ペンを持つ。
先に最初俺が言ったことをメモする。
終わると俺に向き直った。
「よし!どうぞ!」
「ん。
それが出来たら次だ。
辺はあまり取らないこと。
それから、
一方向返しの技が効果的だ。
後は斜めになるように積極的に取らないこと。
まぁこれぐらいが出来たら大抵の奴には勝てる。」
雷はふむふむとメモしていく。
「俺初めて知ったのばっかりだ!」
雷が目をキラキラさせて言う。
「まぁ普通に生活してたら使わないことだしな。」
「俺今なら勝てる気がしてきた!」
「これぐらいはまだ初心者抜けたぐらいだけどな。」
「え!初心者?!」
「あぁ、プロだったらもっと技知ってるからな。」
「えー、技知ってたら勝つものなの?」
「あぁ、技を知ってて、
勝負の時それを覚えてたら勝つ。
オセロはほとんど記憶勝負な所があるし、
あー、
そう考えると将棋も結構似てるかな。」
「へぁー、奥が深いんだね。
俺そんなに覚えれなさそう。」
「まぁ楽しむ分には、
俺がさっき言ったぐらいで十分だろう。」
「親分、俺の知らないのもありました!
俺とオセロやって教えてください!」
東堂が勢いよく俺の前に来る。
「あぁ、やってやるから落ち着け。」
「東堂さん抜け駆けずるい!
俺も真とする!」
こうして結局、
松原も交えて午前中はずっとオセロをしていた。