「では!宴会を始めさせてもらいます!
それでは開始の挨拶!お馴染みのおやじさん!
お願いしまーす!」
いつもなら、
すぐ立つはずのじいちゃんが座ったままだ。
「おやじさーん?」
司会者が親父を呼ぶ。
座ったままのじいちゃんはこう言った。
「今回は、俺は何もしてねぇ。
真にやらせろ。」
俺か。
全然考えてなかったんだがこれ如何に。
まぁ、仕方ないか。
じいちゃんには何か考えがあるんだろう。
それに、俺からもお願いがあったしな。
俺が立ち上がると、
少し歓声が上がった。
サッときた司会者からマイクを渡される。
俺は一つ息を吸うってから喋り始めた。
「組長に代わって、
神夜真が開始の挨拶をさせてもらいます。」
『おぉぉぉぉぉ!!若ぁー!』
野太い声が響く。
「…まず、
氷鬼を潰すため共闘してくれた、
十三名の組員達、ありがとう。
そして、
組員と関わる機会を作ってくれた組長、
ありがとうござました。
そして私情ではありますが、
宴会の前にこの場を見届け人として、
松原と、親子の盃を交わしたいと思います。」
『ぉぉぉぉぉぉぉお!』
俺が言い終わるや否や大歓声が起きる。
すると、
今まで座っていたじいちゃんが立ち上がった。
「わしが立会人をしよう。」
まだ興奮している歓声がもっと上がった。
そして、
組員達は大急ぎで広間を作る。
あっという間に、
盃を交わすのに十分な広さが出来た。
「松原。」
「はい。」
俺がそう言うと、松原は子分側に座る。
俺も親分側に座る。
いよいよ始まる。