参戦したほうが…、
広野は着々と男共を倒していた。
…大丈夫そうだな。
そう思って帰ろうとする。
…あれ?
女の子…?
広野の後ろには、
制服の着た女の子が座りこんでいた。
これは、手助けした方がいいかな。
俺は静かに広野達の元へ歩いていった。
「おいお前ら、俺も混ぜろよ。」
「あぁ?!」
厳つい連中がこちらを睨む。
んなの効かねーよ。
俺は近くの奴を殴った。
「ガァッ、」
「さ、次はどいつだ。」
俺がそう言うと、
男の一人が目に力を入るのが見えた。
その時月の明かりが、
俺を照らした。
男が呟く。
「…死、神?」
「はぁ?!死神って、あの?!」
「だって、それしかねーだろ!
鎌のピアスに、髪の根元が銀色!
おまけに目も銀色!」
興奮と恐怖が混じっている様子の男共。
「おい。
怪我したくねーなら帰れ。」
男共は目を合わし、
何か合図をしているようだ。
「どりゃっ!…あぁっ?!」
「はっ!…いっ!」
「あぁ!…うぁっ!」
「んっ、…ガハッ…。」
一斉にかかってきた奴らを、
全て返り討ちにする。
「…ひ、引き上げるぞ!」
それを見ていたリーダーらしきやつが、
一目散に逃げていく。
それに釣られ残り二人も、
倒れたやつは置いて逃げる。
仲間じゃねーのかよ。
とか思いつつ広野の方を向く。
「…もう大丈夫よ。」
広野が女の子を介抱しているようだった。
だが女の子はずっと泣いている。
俺は後ろを向き、
自分のパーカーを脱ぐ。
「取り敢えずこれ着せろ。」
後ろを見ずに差し出す。
今のこの子の姿は男が見てはいけない。
「ありがとう。」
広野がお礼を言いながら取る。
「…よし。
もう大丈夫よ。」
「後は、龍神の奴らに手を貸してもらえ。
じゃーな。」
俺は歩きだす。
「あ、まって…!
うちの総長、死神に会いたがってるの。
…会ってくれないかな!」
「…今は無理。」
「今は…?」
「会えるようになったら、
こっちから行く。
丁度今の龍神のこと、
気になってたしな。
だから待ってろ。」
「…死神って、
名前と性格合ってないんだね。
…うん。待ってる。
必ず来て。」
俺は止まっていた足を、
また動かし始めた。