声が聞こえてきたのは、私の後ろからだった。

でも、振り返って見なくてもわかる。

それはきっと、彼。

とても身長が高くて、スラっとした手足に小さな顔の彼は、スタイル抜群だ。

そんな小さな顔もとても整っていて、切れ長の目に大きな瞳。

筋の通った鼻をしている。

まるで絵の世界から抜け出してきたんじゃないかと思うくらいの美男子。

彼を目にした葵ちゃんも驚いて、目を白黒させている。

「蓮先輩……?」

そう、部屋に入ってきたのは蓮だった。

蓮の声が再び小さな教室に響いた。

「説明してくれる?」

「ねぇ、結月。本当に結月はユズさんなの?」

そう尋ねる蓮に、

「ごめん」

私は小さくそう言ってから、蓮の横をすり抜けて、教室から走り去った。