約11時間経って、やっと結月が目を覚ました。
慌てて離したけれど、手を握っていたことが結月にバレて、俺はかなり照れた。
結月はすぐに立ち上がろうとしたけれど、ふらりとしてすぐ前のめりに倒れかけた。
慌てて抱きしめると、結月はかなり軽かった。
「ちゃんと食べてるのか?」
そう聞いた俺に結月は曖昧に返してきたが、結月のお腹が音を立てて鳴った。
そして俺は自分も弁当を食べていなかったことを思い出し、ちょっと前にクラスの子が届けてくれた鞄の中から弁当箱を出して、結月と一緒に食べた。
結月が寝ている間ずっと一緒にいたことに対して、
「ありがとう」
そう言われ、
「なら明日、俺に付き合って」
なんて半強制的に俺は結月を誘って次の日、遊園地に向かった。
俳優・鈴木蓮とバレないためなんて理由を使って、結月に"蓮くん"と呼ばせながら、俺はかなりドキドキしていた。
はぐれないためなんて言って、手を繋いだりもした。
昼飯に結月が人生において初めて鯛焼きを食べて"美味しい"と言うのを見ながら、俺は心の中からあったかくなるのを感じた。
そして夜になって、結月と一緒に観覧車に乗った。
観覧車の窓から夜景を見て、
「きれーい」
そう言う結月に俺は見とれていた。
そして俺は、結月に話始めた。
結月にはずっと、俺はユズさんが好きだと言っていたから、まずそこから訂正してユズさんは恋の好きではなく憧れだったと話をして、ユズさんではなくて本当に好きな子ができた。
そう言った。
そして、どんなところが好きかを言った。
そんな俺に結月は、
「そんなに好きなら、その子と来ればいいじゃんか。私なんか誘って、その子の話なんてしないでさ、その子本人と遊園地でもどこでも行けばいいじゃんか」
そう言って観覧車が地上に着くと、すぐさま降りて走り去っていった。
突然のことに俺はビックリして、しばらく呆然としていた。
告白が失敗に終わってしまった。
最後まで聞いてもらうことすらできなかった。
けれど、あの言葉はもしかして嫉妬してああ言ったの?
はじめに結月が好きだと言ってから、どんなに好きかを言っていたら、結月も好きだと言ってくれていたんじゃないか、そんな淡い期待を抱いてしまった。
月曜日、テスト前にもかかわらず俺は結月が来るまでずっと、教室の前で待っていた。
けれど朝礼の時間になってしまい、結月と話すことができないまま、5教科のテストを受けることになり、その日の帰りにやっと話せると思った矢先に、加藤さんが突然やってきて、かなり親しげな2人の関係を訊ねると"婚約者"と言う答えが返ってきた。
嘘だ……
そう言いたかったけれど、2人が婚約者だということを否定できる要素はどこにもなかった。
かなり親しげ。
それだけではなく、お互いがお互いのことをよく見ていて、信頼し合っている。
俺の入る隙間は、どこにもなかった。
加藤さんと話していて、彼がどれほど結月を好きなのかも伝わってきた。
俺が少し前に嫉妬した結月の初恋の相手が加藤さんだったのだとわかった上に、今日学校で加藤さんの話をしているときも、結月は顔を真っ赤にしていた。
さらに、観覧車での俺が淡い期待を抱いたあの言葉だって、友達のユズさんを思っての言葉だったみたいだし。
俺は結月が好きだから。
大好きだから。
だから、これからも親友として隣に居続けるよ。
結月へのこの想いに蓋をして。
〜蓮Side End〜
慌てて離したけれど、手を握っていたことが結月にバレて、俺はかなり照れた。
結月はすぐに立ち上がろうとしたけれど、ふらりとしてすぐ前のめりに倒れかけた。
慌てて抱きしめると、結月はかなり軽かった。
「ちゃんと食べてるのか?」
そう聞いた俺に結月は曖昧に返してきたが、結月のお腹が音を立てて鳴った。
そして俺は自分も弁当を食べていなかったことを思い出し、ちょっと前にクラスの子が届けてくれた鞄の中から弁当箱を出して、結月と一緒に食べた。
結月が寝ている間ずっと一緒にいたことに対して、
「ありがとう」
そう言われ、
「なら明日、俺に付き合って」
なんて半強制的に俺は結月を誘って次の日、遊園地に向かった。
俳優・鈴木蓮とバレないためなんて理由を使って、結月に"蓮くん"と呼ばせながら、俺はかなりドキドキしていた。
はぐれないためなんて言って、手を繋いだりもした。
昼飯に結月が人生において初めて鯛焼きを食べて"美味しい"と言うのを見ながら、俺は心の中からあったかくなるのを感じた。
そして夜になって、結月と一緒に観覧車に乗った。
観覧車の窓から夜景を見て、
「きれーい」
そう言う結月に俺は見とれていた。
そして俺は、結月に話始めた。
結月にはずっと、俺はユズさんが好きだと言っていたから、まずそこから訂正してユズさんは恋の好きではなく憧れだったと話をして、ユズさんではなくて本当に好きな子ができた。
そう言った。
そして、どんなところが好きかを言った。
そんな俺に結月は、
「そんなに好きなら、その子と来ればいいじゃんか。私なんか誘って、その子の話なんてしないでさ、その子本人と遊園地でもどこでも行けばいいじゃんか」
そう言って観覧車が地上に着くと、すぐさま降りて走り去っていった。
突然のことに俺はビックリして、しばらく呆然としていた。
告白が失敗に終わってしまった。
最後まで聞いてもらうことすらできなかった。
けれど、あの言葉はもしかして嫉妬してああ言ったの?
はじめに結月が好きだと言ってから、どんなに好きかを言っていたら、結月も好きだと言ってくれていたんじゃないか、そんな淡い期待を抱いてしまった。
月曜日、テスト前にもかかわらず俺は結月が来るまでずっと、教室の前で待っていた。
けれど朝礼の時間になってしまい、結月と話すことができないまま、5教科のテストを受けることになり、その日の帰りにやっと話せると思った矢先に、加藤さんが突然やってきて、かなり親しげな2人の関係を訊ねると"婚約者"と言う答えが返ってきた。
嘘だ……
そう言いたかったけれど、2人が婚約者だということを否定できる要素はどこにもなかった。
かなり親しげ。
それだけではなく、お互いがお互いのことをよく見ていて、信頼し合っている。
俺の入る隙間は、どこにもなかった。
加藤さんと話していて、彼がどれほど結月を好きなのかも伝わってきた。
俺が少し前に嫉妬した結月の初恋の相手が加藤さんだったのだとわかった上に、今日学校で加藤さんの話をしているときも、結月は顔を真っ赤にしていた。
さらに、観覧車での俺が淡い期待を抱いたあの言葉だって、友達のユズさんを思っての言葉だったみたいだし。
俺は結月が好きだから。
大好きだから。
だから、これからも親友として隣に居続けるよ。
結月へのこの想いに蓋をして。
〜蓮Side End〜