次の日、学校へ行くといつも通り蓮と葵ちゃんが話しているのが目に入った。
「2人ともおはよう」
「おはようございます、結月先輩」
「おはよう、結月」
ただそう言われただけなのに、胸の中がいっぱいになる。
もう蓮が、誰を好きでもいい。
私がこの想いを忘れるなんてことできないから。
「結月、この間はごめんな」
葵ちゃんが教室から出て行くと、蓮が話し出した。
「昨日、聞いたんだ。結月、ユズさんと仲良いんだろ?なのに結月にユズさんは好きじゃないとか言ってさ。だから結月、怒ったんだろ?」
「え?」
そうじゃないよ。
あれは蓮が悪いんじゃない。
私が勝手に嫉妬してしまっただけ。
「お前、友達思いのいい奴だな。けど俺はユズさんが嫌いなわけじゃないよ。ユズさんは俺の憧れの人。それだけはわかって?」
そう言って、蓮は笑った。
「私の方こそごめんなさい。いきなり帰ったりして」
そう言うと、
「いいよ。だって俺たち親友じゃん?」
と蓮は明るく言った。
「うん」
親友……それでもいい。
蓮の近くにいれるのなら、彼女じゃなくていいよ。
「ってかさ、良かったよな。初恋の人、会いたいって言ってたもんな」
「え?」
突然の蓮の言葉に、私はビックリしてしまった。
「結月の初恋って加藤さんなんだろ?」
「ちが…」
「優しくて芯が通ってて、お前に勇気くれたんだっけ?それに加藤さんカッコイイよな。背高くて顔ちいせーし」
私の初恋の人の話を覚えていてくれたのは嬉しいよ。
けど、それは違う。
大翔じゃないんだよ。
蓮なんだよ。
そう言えないのがもどかしい。
「結月、加藤さんにめっちゃ愛されてんじゃん」
大翔は大好きなお兄ちゃんだ。
だけど、そんなことを蓮に言われるなんて嫌だ。
苦しすぎるよ。
「違うよ」
気づいたら、私はとても大きな声を出していた。
「大翔は違う。そういうのじゃないよ」
私が落ち着いてそう言うと、
「結月、照れてんの?顔真っ赤じゃん」
と蓮は言った。
私の顔が赤いのは、大翔の話をしているからではなく、蓮と話しているからで。
苦しくても蓮を好きでいるって、つい昨日決めたばりなのに、やっぱりキツイ。
蓮の言葉が私にのしかかってくる。
蓮は私のことなんてなんとも思ってないんだって、痛感させられる。
私は結局、蓮に言葉を返せず黙り込んでしまった。
その日、帰ってきたテストは英語以外はとても悲惨な点数だった。
けれどそんなことは私の心には響かず、ただただ片思いの辛さを思い知りながら、一旦家へと帰りユズとして再び蓮と会った。
なぜだろう。
私から少し離れたところに座っている蓮が、とても悩んでいるように見えるのは、なぜだろう。
何かあったのかな?
そう思って見ていると、
「蓮先輩、何かあったんですか?」
そう言って、葵ちゃんが蓮の隣に腰掛けた。
「いや、何もないよ。心配かけてごめんね。ありがとう、中村さん」
蓮は優しい口調でそう答えた。
そう答えてはいるけど、やっぱり蓮は何か考え込んでいるように見える。
でも葵ちゃんには心配はかけたくないんだろうな。
好きな子に弱いところは見せたくないんだろうな。
優しく言われた葵ちゃんは、黙ってしまった。
そんな2人の様子を遠巻きに見ていると、
「鈴木くん、今ちょっといいかな?」
大翔が蓮に話しかけた。
「はい」
中村さんまたね、そう葵ちゃんに伝えてから蓮は大翔と共に歩いて何処かへ行ってしまった。
「2人ともおはよう」
「おはようございます、結月先輩」
「おはよう、結月」
ただそう言われただけなのに、胸の中がいっぱいになる。
もう蓮が、誰を好きでもいい。
私がこの想いを忘れるなんてことできないから。
「結月、この間はごめんな」
葵ちゃんが教室から出て行くと、蓮が話し出した。
「昨日、聞いたんだ。結月、ユズさんと仲良いんだろ?なのに結月にユズさんは好きじゃないとか言ってさ。だから結月、怒ったんだろ?」
「え?」
そうじゃないよ。
あれは蓮が悪いんじゃない。
私が勝手に嫉妬してしまっただけ。
「お前、友達思いのいい奴だな。けど俺はユズさんが嫌いなわけじゃないよ。ユズさんは俺の憧れの人。それだけはわかって?」
そう言って、蓮は笑った。
「私の方こそごめんなさい。いきなり帰ったりして」
そう言うと、
「いいよ。だって俺たち親友じゃん?」
と蓮は明るく言った。
「うん」
親友……それでもいい。
蓮の近くにいれるのなら、彼女じゃなくていいよ。
「ってかさ、良かったよな。初恋の人、会いたいって言ってたもんな」
「え?」
突然の蓮の言葉に、私はビックリしてしまった。
「結月の初恋って加藤さんなんだろ?」
「ちが…」
「優しくて芯が通ってて、お前に勇気くれたんだっけ?それに加藤さんカッコイイよな。背高くて顔ちいせーし」
私の初恋の人の話を覚えていてくれたのは嬉しいよ。
けど、それは違う。
大翔じゃないんだよ。
蓮なんだよ。
そう言えないのがもどかしい。
「結月、加藤さんにめっちゃ愛されてんじゃん」
大翔は大好きなお兄ちゃんだ。
だけど、そんなことを蓮に言われるなんて嫌だ。
苦しすぎるよ。
「違うよ」
気づいたら、私はとても大きな声を出していた。
「大翔は違う。そういうのじゃないよ」
私が落ち着いてそう言うと、
「結月、照れてんの?顔真っ赤じゃん」
と蓮は言った。
私の顔が赤いのは、大翔の話をしているからではなく、蓮と話しているからで。
苦しくても蓮を好きでいるって、つい昨日決めたばりなのに、やっぱりキツイ。
蓮の言葉が私にのしかかってくる。
蓮は私のことなんてなんとも思ってないんだって、痛感させられる。
私は結局、蓮に言葉を返せず黙り込んでしまった。
その日、帰ってきたテストは英語以外はとても悲惨な点数だった。
けれどそんなことは私の心には響かず、ただただ片思いの辛さを思い知りながら、一旦家へと帰りユズとして再び蓮と会った。
なぜだろう。
私から少し離れたところに座っている蓮が、とても悩んでいるように見えるのは、なぜだろう。
何かあったのかな?
そう思って見ていると、
「蓮先輩、何かあったんですか?」
そう言って、葵ちゃんが蓮の隣に腰掛けた。
「いや、何もないよ。心配かけてごめんね。ありがとう、中村さん」
蓮は優しい口調でそう答えた。
そう答えてはいるけど、やっぱり蓮は何か考え込んでいるように見える。
でも葵ちゃんには心配はかけたくないんだろうな。
好きな子に弱いところは見せたくないんだろうな。
優しく言われた葵ちゃんは、黙ってしまった。
そんな2人の様子を遠巻きに見ていると、
「鈴木くん、今ちょっといいかな?」
大翔が蓮に話しかけた。
「はい」
中村さんまたね、そう葵ちゃんに伝えてから蓮は大翔と共に歩いて何処かへ行ってしまった。