「おーい美月ー!」


不意に声が聞こえた。


明るくて大きい、よく通る声。


「あぁー、まひろか」


女子グループの中心にいた美月さんがその声がした方を見ていった。


美月さんを呼んだのは、学級長を務めている、少し男の子っぽさがあるまひろさんだった。


…彼女は優しくて男女問わず信頼されているけれど、結構空気が読めない所があるから陰口が絶えない。


それを、あたしは知っている。


「国語係はすぐ斎藤先生の所に行けだとよ!」


「わかったー」