でも、今国語の教科書を開いているのはそんな理由じゃない。


隣の席の京太朗が、国語の教科書を忘れた、と朝のときこぼしていたのだ。


ということは、今日の国語の授業は二人で一つの教科書を読めるということだ。


私はもう今からドキドキしていた。


「どうしたー?」


不意に私は背後から声をかけられて振り向く。


そこには、学級長のまひろちゃんがいた。


「あ、まひろじゃん。あのねーサトミもう教科書開いてんの…」