ようやくだが、私の人生で大きく
色を変えた『ときちゃん』に会った



お昼間はお稽古に行き、夜は宴会
同じローテーションを繰り返していた
退屈な日々。




宴会に行けば色んな方にお会いすることが
出来る




そんなお客様たちから得た知恵が身につき
地元の同級生など遥かに幼く
恋愛する気など毛頭無い


何より今まで頑張ってきた為
結構私は売れっ妓になっていた








普段私たちはお仕事に行くまで
どのお客様に会うか、どんな宴会なのか
知らされることも無く
毎日ひたすら場の花になるだけ

座持ち良く
ずっとニコニコしていれば勝ちだった











「幸世さん、今日はここに行っとくれやす」

お母さんが言う


お母さんと言うのは
本当の母ではなく
奉公さしてもうてる置屋の女将のことだ




この世界では芸妓さんは
死ぬまで一生芸妓さんでいられる

たとえ100歳でも



舞妓さんというのは
そもそも芸妓さんになるための
修行期間中の事を言うのだ





ただ例外が一つあり
結婚したら辞めなければいけない



それが決まりだった