「・・・。あたし帰る。」
「送るよ。」
「大丈夫だから。」


アヤはその場から離れた。
そこにいたくないわけではない。

そこにいたいわけでもない。


駅までとぼとぼと歩いていると、ユウヘイがいた。

「よぉ!」
「誰ですか?」
「朝丘ユウヘイ。」
「知りません。」

うざかった。
アヤは人見知りするタイプでもないのだが、こいつが直感で嫌いだった。


「あれは?背高のっぽのケイジは?」
「ケイジとか呼ぶな!」
「なにそれ?」
「呼ぶな!」」


アヤとケイジには特に意味はない。
しかし、お互いが特別な関係であるのは確かなことだった。

だから、お互いがお互いでしか呼ばない名前。

アヤとケイジになった。