双雷。

その単語をどこかで聞いた覚えがあると思ったら、神亀と同じく「裏の世界のダークホース」と噂されていた不良グループだ。




双雷は、知名度はまだまだだが、実力は本物。


着実に勢力を伸ばしつつある、正統派。



守り型の神亀とは対極的に、雷鳴の如く、激しい攻めを強みとする暴走族だ。




同等の位置にいる、双雷と神亀がこうして出会ったのは、偶然か必然か。

もしくは、神様のいたずらか。




「私は、矢浦萌奈。同じく高1」


「萌奈!いい名前だな!よろしく!」



尻尾をぶんぶん振って近寄る翠くんに、握手を求められる。


も、もしかして、懐かれた……?



「よ、よろし……」

「俺は!」


仕方なく手を差し出そうとしたが、後ろからグイッと肩に腕を回され、妨害された。


犯人は、バンちゃんの手から逃げてきた、あず兄だ。



「こいつの幼なじみの、花宮あずき。高3。神亀の4代目総長だ」



肩を力強く抱き、独占欲丸出し。

殺気がバシバシ飛んできて、ちょっと痛いよ。