どうりで男の子たちが皆、喧嘩腰なわけだ。
2つの暴走族が邂逅した今、敵対心をむき出しにしてしまうのも、不良の性ってやつか。
あず兄たちも、学ランの男の子側の不良たちも……って、そっち側の男の子のほとんどが学ラン着てるじゃん!
これじゃあ、もう心の中で「学ランの男の子」って呼べないよ。
黒髪の男の子に変更だ。
「あ、そういえば、自己紹介してなかったっけ?」
学ランの……じゃなくて、黒髪の男の子が、また空気感を穏やかなものへと変えた。
ある意味才能だ。
「俺は、円堂 翠【エンドウ ミドリ】。高校1年、15歳」
顔横にかかる左の毛先に、赤のメッシュを入れている、パーマがかった黒髪。
左右2つずつ付けているピアスは、人懐っこそうな笑顔にあまりそぐわない。
私より年下で、同学年だったんだ。
学ランってことは、北高校かな。
「この洋館をたまり場とする、双雷【ソウライ】の4代目総長だ。よろしく!」
「そ、総長……!?」
黒髪の男の子、翠くんが、双雷の……。
これまたびっくりだ。
不良なだけでも意外なのに。