学ランの男の子の手から自分の手をするっと抜き取り、前のめりに尋ねた。
今まで騒がしくしていた神亀の皆が、一気に静かになる。
のどかだった空気も、心なしか、またぴんと張り出す。
「新人いびりっていうのは、比較的できたばかりの暴走族のメンバーを、古参の不良たちが狙っていじめることだよ」
「まさか、1週間前のアレって……!」
「そう、その新人いびりってやつ。いじめる側からしたら、ただのゲームなんだ。結果的に暴走族が壊滅したらラッキー、って感じでね」
胸糞悪いゲームだ。
不良たちの間でそんなことをしていたなんて。
気分が悪い。吐き気がする。
……あれ?
ということは……。
「あなたたちも、暴走族なの?」
目を見開いて問いかければ、学ランの男の子はさも当然のように首を縦に振った。
「知らなかったの?」
ええ、はい、知りませんでした。
二度目ましてで知っているほうがすごいでしょ。