生徒玄関で靴を履き替え、校舎を出る。
青とオレンジがほどよく混ざった空の下、2つの影が伸びていく。
歩く度に、隣で、後ろに結われた金髪がぴょこん、ぴょこんと跳ねる。
なんだか可愛いな。
その様子を眺めていたら、
「顔に何かついてるか?」
あず兄が自分の顔をペタペタ触りながら、そう聞いてきた。
「ついてないよ。今日も今日とて、麗しく整ったお顔ですよ」
「なんだよそれ」
呆れたように笑われたけど、本当だよ。
クラスの子もきゃーきゃー言ってたけど、あず兄はかっこいい。
なんていうの?美人顔?端正?まあそんな感じ。
「それを言うなら、萌奈も整ってるほうだろ」
「ははっ、わかりやすいお世辞どーも」
「世辞じゃねぇし」
ボソッと呟かれても、何言ってるかわかんないよ。