「ちょっと!深海さん!こんな使えない子ヘルプで呼ばないでよ!
あんたも仕事なめてんの?!
やる気がないなら今すぐにやめなさいよ!」

それだけ言い捨てて、壁を拳でドンっと殴ってホールへと消えていった。

…やっぱりここはわたしのいていい場所なんかじゃなかった。
馬鹿みたいに何を夢見ていたんだろう。なんでこんなところに来てしまったんだろう。

やれやれ、と言った感じで深海は頭を抱えて、わたしはやっぱり何も言えずに立ちつくすことしか出来なかった。

「はい?」

その時、深海はつけていたインカムに耳を傾けて何かを話してる。

「あぁそうか。いや、さくらをつける」

そう言ってから、深海は真っ直ぐにこちらへ目を向ける。

「さくら、もう1卓行けるか?」

「え?」

「今日は、もう仕事ができないか?」

「…」行きたくない。それが正直な気持ちだった。そんなの深海にとっちゃ全部お見通しだったんだろうけど。

「さくらが行けないなら無理に行けとは言わない。
さっきのヘルプでついたお客さんとは全然違う人だよ。
うちでは、いつもフリーでしか入らないけれど、双葉ではママを指名していて、ONEではONEのナンバー1を指名している社長さんなんだけど。
うちでは誰をつけても指名はしないんだ。だけど穏やかで誰にでも優しい人だよ」