ドスッ・・・バコッ・・・暗く月明かりも入らぬ繁華街の裏道。
2つの黒い影があった。
大きい方の影が揺れ助けを求める声が響いた。

「た、助けてくれ」

必死になって頼み込むその姿は、なんとも滑稽なものだ。


「藤堂 魁kai はどこにいる。」

もう一つの影の声はとても冷たく、響くことなく夜の闇に吸い込まれた。

「し、知るかそんな奴!!」バキッ・・・
それが男の最後の言葉だった。



「どこにいる・・・兄貴・・・。」


そう呟かれた言葉は、切なさと優しさを帯びていた。