「僕は諦めませんから!」
言い残して行ってしまった。
それを期に、今度は、武尊が凪美子を避けるようになった。
声を掛けようとしても、凪美子を見るなり、何も言わず通り過ぎて行ってしまう。
仕事の話で声を掛けようとしても、顔すら合わせてくれない。まともに挨拶すらできない状態だった。
そんな困り果てている凪美子に気付いたのは、岡本だった。
「社長? 最近何だか元気ないみたいですけど、何か悩み事でも?」
「え? あぁ、別に何でもないわよ」
「何でもないって顔してませんけど? まさか恋愛の悩みでも⁉」
――……っ!! す、鋭い!
「な、何言ってるのよ~、私いくつだと思ってるのよ~」
手元の資料を高速でペラペラとめくり出す凪美子。
岡本はそれが図星とすぐに分かった。
「年齢なんて気にされてるんですか? それに恋愛なんて気持ちの問題じゃないですか」
「そうだけど、そうだけどよ? 仮に、仮によ? 相手が息子ほど下だったらどうなの? そんなの無理じゃない⁉」
「そうですか? 息子さんって~、武尊君くらいの子から告白されたって感じですか?」