「何でですか! 何で僕を避けるんですか!」

歩いて来る凪美子の前を塞いだ。

「……⁉」突然のことに驚く凪美子。

壁に追い詰められ、武尊の手は壁に手をつき、凪美子を逃がさないようにした。
 
――やだ! これ俗に言う〝 壁ドン 〟じゃない! よくドラマや漫画であるやつ! ほんとにあるわけ⁉ しかも私に⁉ 降って来るなんて!!
 
凪美子は冷静に心の中で実況しながらも、興奮し、なぜが胸は躍っていた。

「何で逃げるんですか! 僕のこと嫌いですか!」

「嫌いじゃない、それに別に逃げてない」

「嘘だ! 今までとは明らかに違うじゃないですか!」

「そんなつもりない」 ――って顔近い!

思わず俯く凪美子。

「逃げたり態度おかしかったり、それって僕のこと意識してるってことですよね?」

「だからおばさんを――」

「おばさんって誰か勝手に決めたんだ! 自分で勝手に境界線引いてるだけだろ! 僕は蓮見さんを一度もおばさんだなんて思ったことはない!」

その場を笑って過ごそうとした凪美子だったが、武尊の目は本気だった。