「痛いの?」
凪美子が何気に聞いた。
「いや、何となく重い感じがして。ここんとこ、卒論とバイトで何かと目を使うから、眼精疲労から来てるみたいな。
目の疲れって、肩凝りだけでなく、胃腸にまで来るらしいから、ネットで調べたらそう書いてあったし」
「そうなの?無理するなって言っても、するんだろうし、でも、無茶はしないで? ちゃんとケアしてね? あなたには期待してるんだから。倒れられたりしたら、困るから」
凪美子の言葉は冗談でも嬉しかった。それ以降も変わらず接してくれる凪美子に、思いを募らせる武尊。
自分の言った言葉に、笑う凪美子の笑顔が頭から離れない。次も笑わせたい、笑顔が見たいから。
〝 落ち着いた女 〟を漂わせる凪美子。
何気にこちらを見る視線も、誰かと話す姿も、考え事をする時の真剣な表情も、ルーズなカールのロングヘアが、風になびくのでさえ、魅力的に思えた。
――蓮見さんを独り占めしたい!