――意外な才能を発揮かしら?

凪美子がそう思いながら、黙って武尊の話を聞いていると、

「あ、すみません」

凪美子の視線に気付き、話すのを止めた。

「どうして話しを止めたの?」

「あ、何か、分かったようなこと言ったかもって思って……」

そのあと凪美子はふっと笑った。

「とても興味を持って聞いてるのに、さっきまでの勢いは?」

それに対して、武尊は頭を掻きながら、苦笑いして俯いた。

武尊の仕事ぶりは、データ入力に留まらなかった。数字を入力することで、それが売上、予算管理と分かり、過去の資料を見ることで色んなことに興味を持ち、知らず知らずのうちに、トレンドの分析をし、商品がどうしたら売れるか、荒削りではあるが、無意識に自分なりにマーケティングしていたのであった。

凪美子は武尊と話していくうち、武尊に、MD(マーチャンダイザー)としての素質を見出していた。