バイトの時間が近くなり、図書館で卒論のための調べものもそこそこに、武尊は、カームクロへ急いだ。

データ入力の仕事をしながら、自分なりに分かりやすく、ファイル分けし、雑にまとめられていた、何でも放り込んだとも言えるファイルも、細かく分けてすぐ取り出せるように整理していた。

武尊が作ったファイルは使いやすと評判になった。

そんな中、また村上が、せっかく 作った会議用の資料を、うっかりして削除してしまったと言う。

バックアップも取っていなかったとか。

削除してしまったその張本人は、ショックから、居ても立っても居られない様子で、でも出来ることなら、「自分が何とかしたい!」そんな気持ちが痛いほど伝わって来た。

そのことを村上は、こっそり武尊に話した。

助けを求めているようだった。

はじめバイトの分際で出しゃばるのもと思い、でも、やってしまった当人を見ると、どうにも胸が痛くなり、一から資料を作り直しするのに協力をした。

武尊は普段から、レポート課題や卒論など書くため、WordやExcelの扱いはお手の物だった。

お陰で、時間内に間に合わせることが出来た。

村上は、全身の力が抜けたように、安堵で胸を撫でおろしていた。