二人で暮らすにはちょうどいい広さ、棚には、岡本と秀奈を抱く男性の三人で写っている写真があった。

武尊がそれをじっと見ていると、その視線に気付いた岡本。

「それ旦那さん、秀奈のパパなの」

武尊はそうかなと思いながら、岡本の話に耳を傾けた。
聞くと、夫は幼馴染みで、そのまま結婚をした。すぐに子供には恵まれず、岡本が三〇半ばでやっと秀奈を授かったとか。
 
その夫は、秀奈が生まれて間もなく、病気で亡くなった。
 
毎日写真を見ながら、小さな秀奈に、父親のことを聞かせているらしい。

理解しているか否か定かではないが、ちゃんと秀奈にもパパがいたことを教えたいと、岡本は秀奈の寝顔を見つめながら言った。
 
――一人で懸命に子供を育てているんだな。

聞いていた武尊は、俯いたまま言葉が出なかった。

そうしていると、眠っていた秀奈が目を覚ました。そのお陰で空気が一変して、ホッとした武尊だった。