「やらないんですか?」
思い切って村上に聞く武尊。
「やるけど、あんな風にやいのやいの言われると、出来るものも出来なくなる」
「なら、文句言わせないようにやりましょうよ! 僕も手伝いますから!」
少し出来る武尊に、先輩の村上が教わりながらこなして行った。
村上と接して、話せば分かる人だと思ったが、ただ、性格上、きつく言われると萎縮してしまうタイプとも気が付いた。
コミュニケーションさえ何とかうまく出来たら、この人は出来る人だと武尊は思った。
そのため武尊は、休憩の時は、孤立しがちな村上を誘ってみたり、会話を振ってみたりと、あえて、みんなと話す機会を作った。
それを繰り返していくうちに、少しずつではあるが、村上は自分から、比較的話しやすい人を選びながら話しかけたり、挨拶しやすい人には自分から挨拶するようになって行った。