「宏平!」


私が笑顔で宏平の顔を見上げると……。


「ん? お前はいっぺん黙ってろ?」

「ア、ハイ」


とても素敵な笑顔をお顔に貼り付けている鬼がいました。

鬼なんてものじゃないです。悪魔です、アレ。


「おい、テメェ、誰だよ!」

「俺が誰だろうと関係ないでしょ、あんたらには」

「あぁ!? 調子に乗んなよクソガキが……っ!!」


そう言って殴りかかってこようとする男たち。


……ゾワワァ……

なんか、寒気が……。

すると、宏平が顔を殴ろうとしていた男の拳をしっかりと捕らえて腕を捻り上げた。


「テンメェ……、何しやがんだ! はなせ!!」

「え、何か言いました?」


笑顔でそう言って更に捻りあげる。


「いででで……っ! も、もう無理……、骨が……っ!!」


男がそう言ったタイミングで、宏平はパッと手をはなした。


「クッソ、行こーぜ」

「お、おう……」


そう言いながらバタバタと走っていく二人を見送る。


……ゾクッ


寒気がしてチラリと隣を見ると、未だに恐ろしい笑顔の宏平がいた。


あれ、これヤバイかも……。


逃げようと試みたものの許してくれるはずもなく、しっかりと腕を掴まれる。

「ちょっと来い」と言われ、そのまま引っ張るようにして連れて行かれた。