翌日の深夜一時。
わたしは彼の上着を紙袋に入れて、昨日と彼と出会った場所に向かって歩いている。
毎日こんな生活をしていているけど、学校にはちゃんと行っているし、校則は多少破っているけど、成績は優秀だから先生からも信頼されている。
誰も知らない。
わたしがこんな時間に一人で出歩いていることを。
誰にも見せていないわたしがいる。
いや、見せられないんだ。
本当の自分なんて。
それに、一人ぼっちの家はどうしても広く感じてしまって居心地が悪い。
「……やっぱりいないかあ」
目的地にたどり着いたのいいけど、肝心の彼の姿はなかった。当たり前だよね。
都合よく毎日いるわけないし。
昨日のはたまたまだったんだよ。
そもそも、返すだけだから別に彼に会いたいなんて……そんなこと思っていないもん。
そう思いながら来た道をまた歩きだそうとしたとき、後ろから聞き覚えのある声がした。