「風邪ひくなよ。その上着はやるよ」
そういうと、おぼつかない足取りで歩いていく。
しばらく放心状態でその背中をただ見つめているだけだったけど、ハッと我に返り彼を追いかけた。
「ねえ!」
「もう俺の事は……」
不機嫌そうに振り向いてわたしを瞳に映した彼が何かを言い終わる前にわたしは口を開いた。
「これ!!やっぱりあげる!!わたしがあげた絆創膏だからすぐ治るよ!!あと喧嘩も程々にね!!!」
それだけ言うと、絆創膏を箱ごとを押し付けて全力で走り出した。
恥ずかしさから一刻も早く彼の前から逃げたかった。自分でやったことだけど恥ずかしい。
しかも、最初は気にしてなかったから気づかなかったけど、絆創膏も今日に限ってキャラクターものだったし。
絶対変な女だと思われた。
いや、もう最初から変なやつだったか。