「なんにもない!」
「うん、知ってる」
ですよね。廉ってすごく意地悪だ。
わたしのことからかってくるし。
「そういえば、明日も学校なんじゃねぇの?こんな時間にうろついてて起きれんの?」
「あー……うん。起きれるよ」
眠れないから寝てない、なんて言えるわけがない。
そもそも、そんな話をできるほどわたしと廉の距離は近くない。
ぐっすり眠れなくなったのはずいぶんと前からだ。
どんなに眠たくて布団の中に入っても一時間おきくらいに目が覚めてしまう。
だから、気を紛らわすためにも散歩をしている。
「偉いんだな。」
「でしょ。廉は?」
「俺は遅刻魔」
「なんかそんな気はしてた」
「バカにしてんだろ。こう見えても俺頭いいんだぜ」
少し得意げな表情を浮かべながら言った。
「自分で言っちゃう?」
「おう。言っとくけどマジだからな」
「へえ」
「絶対信じてねぇだろ」
不満そうに顔をしかめてわたしをみる廉。