「ありがと。あなたの名前は?」
「俺は出雲廉(いずもれん)」
かっこいい名前は彼の整っている容姿とピッタリ。
耳たぶに二つのゴールドのリングピアス、軟骨に一つのピアス。
月の光が当たるとよりいっそう綺麗に輝いてみえる銀色の髪色。ぱっちりとした二重にキリッとした眉毛、スッと筋の通った鼻、形のいい唇。
すべてがわたしの心を掴まえて離さない。
この気持ちがなんなのかわたしは知っているけど、知らないことにしておこう。
「……廉、か」
その名前を聞いて頭に思い浮かんだ人物をすぐに頭の中から抹消した。
あんなやつ、知らない。
この人は違う人だから、関係ないんだよ。
「なに、そんなに珍しいわけじゃねぇだろ」
「あー……うん」
「なあ、聖那」
「な、なに?」
いきなり名前を呼ばれて動揺してしまう。