本当はまだ一緒にいたいけど、迷惑になるかもしれないし、これ以上一緒にいて気持ちが膨らむのは困るから帰ろう。

歩き出した瞬間、手首をぐっと掴まれた。


「待てよ」

「え?」


なんで、引き止めるの?


「送っていくから」

「いや、そんなの悪いから」

「そんなこと気にすんなよ」


いやいや、気にするし。

こんな深夜にわざわざ送ってもらうのは気が引ける。


「一人で帰れるって」

「いや、帰れない。つーか帰さねえし」


そういうと、彼はわたしの手を握って自分の上着のポケットに入れた。

あたたかい彼の体温にわたしの体温まで三度ほど上昇したような気がする。

……なんで、手なんて繋ぐの。