それからどーでも良い会話をしていたら、いつの間にか目的の駅についた。
二人で電車を降りると、そこには同じ制服の人が沢山いる。
改札を通過してから彼の方を向く。
もうここまで一緒に来れば良いだろう。
「知ってると思うけど、学校はここからすぐ近くだから」
「うん、ありがとう」
じゃあ、と自然に一人で歩いていこうとすると、「待って」と腕を掴まれた。
周りからの視線を少々感じる…
「な、何。まだ分かんない?道」
「分かるけど、なんかここで別れんの、寂しくね?別に学校まで行っても良いと思うんだけど」
「…まあ、いいけどさ」
なんか、嫌じゃないか。今日初めて登校してる男子と慣れ慣れしくしてる地味女子って。
今見たら高橋くん、顔整ってるしさ。
うわ、あの子地味なくせに高橋様と一緒に登校してるわぁ、みたいに陽キャ(?)に目つけられるかもじゃん。
「私、命かかってるんです」
ボソっと言ったら
「なんて?」
と返された。聞こえなかったみたいだ。
「何でもないです」
「何怒ってるの?僕のこと嫌い?」
何いきなり。正直言って、嫌い寄りなんですが。
「好きではない」
「嫌いでもない?」
「そんな事はない」
「えー。傷つくぅ」
「早く行くよ。」
わざとらしく落ち込んだふりをしながらついてくる彼を見てると、「あぁ、チャラいな」
と感じてしまった。
 そして今更だが、やはり周りから視線を感じる。「あの人かっこ良くない?」「背が高くてイケメンやん」「あんな人、うちにいたっけ」聞こえてくる沢山の女子の声。うんざりしてくる。
「ねえ高橋くん、めっちゃ注目されてるよ。気づいてるよね」
ふっと笑ってから、小さな声で
「僕、あぁいう女子嫌いなので。僕が好きなのはバストロちゃん。」
と呟いた。
「私も君みたいな人好きじゃなくて。私が好きなのはトロンボーンだけ」
言ってやったぞ、という顔をしながら顔を見ると…なんか謎に目が輝いている。
「僕達、同じ人好きじゃん。気、合うって」
「どーだろ」
この人、馬鹿なのかな。絶対馬鹿。