歩いていると、駅が見えてきた。
「そっかー。あ、駅見えた。ここから電車で30分揺られます」
「え、30分も?思ってたより遠いな。
まあ、こんなとこに住むことを決めた僕に責任があるね」
あはは、と頭を掻きながら笑う。
「てか、なんで小柳はこんなとこからわざわざ通ってるん。近くにあるよね?同じくらいの偏差値の公立高校」
「あるね。理由は、無いことはないけど、話す価値はないかも」
「恋愛みたいな?好きな人が行くから、私もついてく!みたいな?」
彼が女子っぽい声を出しながらへニョへニョ動いた。
ふっと笑ってから、
「違う。てか気持ち悪い」
といった。
「意外と毒舌な、小柳。」
「まあね。よく言われます」
 駅に入ってから、カードで改札を通過し、
丁度きた電車に二人で乗った。
 私達以外はほとんど人がいなくて、座席にも簡単に座ることができる。
「小柳はさ、今までずっと一人で行ってたの」
「見ての通り、そうだよ。私と君以外、こんな面倒くさいことする人、いないから。」
「当たり前かー。」
「私は一人で乗る電車、好きだったんだけど」
わざとらしく言ってやると、ムッとしてから、
「失礼。まあ、あとからどうせ人が乗ってくるでしょ。その時は、僕が痴漢などなどから守ってあげます」
えっへん、と手を腰につきドヤ顔をした。
「私、痴漢されたこと無いし。まあ、ありがとうございます」