そして私は、廊下に人影があるのを見つける。
全く動かない。2人か…
ドアに向かって歩く。
「どうしたの、小柳」
「トイレ」
ガラガラッ
 「小柳さんでしょう、あなた」
あー、やっぱりあると思った。
廊下には二人の女子が。
見るからに怒っている。
「教室から怒鳴り声聞こえたから来てみたんだけどさ、なんで高橋くんと一緒にいるわけ」
色々と事情があるんですが…
「一緒にトロンボーンの練習してるだけですけど」
「あんた吹部なの」
「違います。ただ練習してるだけです。」
「高橋くんを一方的に怒鳴るのはやめて」
「誤解じゃないですか。ていうか、私の怒鳴り声よりトロンボーンの音のほうが大きいはずです。遠くからは声は聞こえないでしょう。」
こいつら覗いてたな。
「何、私達がずっとここにいたみたいな」
「実際そうでしょう。もうやめてください。
疑問に思うなら、高橋本人に聞いてくださいね」
では、とトイレに向かって歩いていく。
後ろからは「感じ悪い」「ウザい」などの暴言が小さく聞こえた。