「ありがとう、高橋。正直なこと言ってくれて」
え、と間抜け顔を見せた。
彼は焦っていた。私があまりにも傷ついていたから。
「高橋って、チャラいくせに意外とビビリなのね」
フフッと笑って、立ち上がってから頭をぽんっと叩いてやった。 「いてっ」と、彼の顔が緩んだので、私は安心した。
もう口を開いて良いんだと、そう感じたのであろう彼は喋りだした。
「いや、でも小柳、なんでそんな上手いの」
「ずーっと一人で頑張ってたからね。でも、決めた」
「何を?」
歩いて彼の正面に行って、息を吸う。
そして、その一言に力を込めて。

「これから私と一緒に練習しませんカ!」

最後に声が裏返って恥ずかしい。下を向いてしまう。絶対顔赤い。
友達がいなかった私が頑張って決意したこと。
まさか自分がこんなこと言えるなんて。
そして高橋が立ち上がり、息を吸う音が聞こえる。

「喜んで」

大きな声で伝えられた言葉を聞いて「え?」と彼の目を見上げる。
「ていうか、小柳が何言っても、毎日来るつもりだったって言ったらどうする?」
ヘラっと笑った彼に、私は笑顔で言葉を投げかける。
「ストーカー」