学校から出ると、制服姿のまま向かったのは、昨夜も来た繁華街。



ストレス発散に遊ぼうかと思ったけど、この時間じゃ当然相手が見つからない。




「退屈…」



特に行くあてもなく、フラフラと繁華街を歩くだけ。別に気になるお店もないし、時間を潰せる場所もない。



とりあえず、スマホに登録されている男の連絡先から適当に1つ選ぶ。


もちろん、適当といっても誰でもいい訳では無い。

社会人は仕事。

普通の学生は学校。

めんどくさい人は、こっちから連絡しない。

そうなれば、だいぶ限られる。




『なに?柚姫から連絡とか珍しいじゃん』


数回のコール音の後、画面の向こうから聞こえてくる声。


「今何してるのかな〜って。暇なら『ねぇ〜誰〜?』」


あたし言葉を遮るように聞こえた、女の猫なで声。

彼女か、あるいはあたしのように身体のカンケーだけの女か。


どちらにしても、女といる所を邪魔するつもりは無い。彼女なら尚更、めんどくさいことになるだけだもん。

それに、向こうもそんなバカじゃない。女といるのにあたしを選ぶなんてことするはずない。


『ごめん、なに?』


「ううん。なんでもなぁ〜い」


それだけ言うと、プチッと通話を終了させた。