全てを話終えると、部屋の中はずっしりと重たい空気に満たされていた。



「ずっと、寂しかったんだね…」


そんな重たい空気をかき消す、魅斗くんの優しい言葉。



寂しい……?


あたしの中に時々生まれていた感情。


その感情の正体が、"寂しい"ってことなの…?



あぁ…。


そうだ………。


あたし、ずっとこの感情を忘れていたんだ。




「あたしはずっと、寂しかったんだ……」


頬を伝う、1粒の涙。


誰かに心を許したくなる時はいつだって、誰かの優しさに触れ、心が温かくなり、安心感に包まれた時だった。




あたしは、偽りの言葉じゃなく誰かと強い絆で結ばれていたかったんだ。





「……柚姫ちゃんは、もう1人じゃないんだよ。仲間が…俺たちがいる。もっと甘えてもいいんだよ」


そっとあたしの体を抱きしめる、瞬くんの優しい腕。




「……柚姫」


流牙くんに名前呼ばれ、彼の顔を見ると、真っ直ぐな瞳と目が合った。



「仲間ってのは、言葉だけの繋がりじゃない。俺たちは誰一人として完璧じゃないんだ。だからこそ、辛い時や悲しい時、互いを頼り助け合う。俺たちを頼れ。俺たちも、柚姫を頼る日がきっとくる。柚姫はもう、霜華の仲間だ。何があっても1人じゃない、1人にしない」


ずっと重たかった心が、ふわっと軽くなり、あたしの中にあった、モヤモヤした感情が、少しだけ晴れた気がした。






「……うん」



涙混じりに、にっこりとはにかむ。




あたしはもう、1人じゃない……。



ひとりぼっちの柚姫じゃない。