「だーかーらーっ!ここの図を使うんだよ」


「ここまでしか分かんない!いいよ、部分点で稼ぐからさ」


「ここまでじゃ部分点すらも貰えねぇよ。諦めて覚えろっ」


「そんなに大きな声で怒鳴らないでよ…。もう、やめたい」


「まだ1問も解けてねぇだろ。…って、魅斗もここ違う。さっき説明しただろ」


「流牙の鬼〜!もうやだ〜」




さっきからこの調子で、幹部室には不穏な空気に包まれている。


何故こんなことになっているのか、それは遡ること2時間前。



*





「如月さん、ちょっといいかな?」



お昼休み、空き教室でまったり過ごしていると突然ガラリと教室のドアが開いた。




「ここ、部外者禁止ですよ〜」



入ってきたのは、けいちゃん。

こんなところまでなんの用だよ。




「けいさんっ!こんにちは」


「学校では"先生"な」


「え〜でも、先生感ないですよ〜」




何やら親しげに話す人たち。




「柚姫ちゃんもちゃんと挨拶して。けいさんは俺らの先輩なんだがら」



…ん?


今なんて?



「先輩って?あー、けいちゃんここの卒業生だっけ?」


そんな呑気なことを考えたけど、そんな簡単な話じゃなかった。



「それもだけど、霜華の元総長だよ」



次に飛び込んできた言葉に耳を疑う。




「総長…って、流牙くんと同じ立場の?」



「そうそう。俺らの大先輩」



けいちゃんが霜華の人間…。


これって、すごくめんどくさい展開じゃない?