「はぁ…」


情けないと思いつつ、幼馴染に見つかった経緯を思い返した。


……実は、病院でドンと会った後、激しい胃痛に襲われた私は、辛うじて病院の横手にある喫煙場所まで歩き、その片隅に置いてあるベンチの上へと腰掛けた。

そこは表からは死角になってて、煙草を吸いに来る人以外は見つけられないだろうと思い、油断して横になったんだが。


二十分後、たまたまそこへ寄っていこうと思った人がいたらしい。
足音がするからハッとして、慌ててそっちへ視線を向けた。


「…あれ、葵ちゃん?」


誰かと思ったら中学の教師をしてる幼馴染だ。


「朝川先生…」

「どうした?こんな所で」


まるで捨てネコみたいに震えてるぞ、と笑いながら話しかけてくる駿ちゃんに、捨てネコ〜?と反論したいがその気にはならず。


「葵ちゃん?」


どうした?と涙ぐむ私を見つめ、彼はちょっと驚いたらしい。
近付きながら、「何かあったのか?」と心配そうに訊きだし、私はプイと顔を背けた。


「別に…。何も」


目線を逸らせて答えたけど、彼は全く信じれないらしくて。