「葵ちゃん大丈夫か?」


顔を覗き込みながら心配する幼馴染に、私はコクンと首を項垂れる。


「すみません。大丈夫です…」

「もうすぐ部屋に着くから」


タクシー内で揺られてる私は、幼馴染の腕に凭れ、グッタリと体に力の入らない状態でいた。


「本当に実家でなくて良かったのか?」


帰り道はどうせ一緒なんだし、マンションでなくても…と駿ちゃんは言うが。


「いい。どうせ部屋に戻れば痛み止めもあるし」


それ飲んで休めば治る…と言うと、駿ちゃんは疑問そうに顔を覗かせ。


「…本当に大丈夫なのか?」


更に顔を近付けてきて、あーあ、メンドくさい相手に見つかった…と視線を逸らせてしまう。


「…平気。それよりもごめん、ゆっくり面会できる時間を邪魔して」


私なんて放っておいてくれても良かったのに…と言えば、何を水くさい…と返された。


「放っておける筈ないだろ。小さい頃から知ってる顔馴染みなのに」


面会はまた明日行くからいいんだよ…と笑う相手に軽く頭を項垂れ、申し訳ない気持ちを吐き出すように溜息を漏らす。