どうせ見た目だけ変わりましたよー、とイジケだす相手を見返しながら、メンドくせーと思い天井を仰ぐ。
此処に呼び出された理由を思い出したのはその瞬間で、ハッと目を見開いて視線を環に移動した。


「そうだ、お前誰に会ったんだ!?」


さっきは院内で勿体ぶられ、結局聞けずに此処へ来る羽目になった。


「んー?」


グラスを傾けかけた環が目線をこっちに向け、「誰でしょー?」とニヤつきながら訊き返してくる。


「早く言え!」


勿体ぶんのもいい加減にしろ、と怒鳴り付けたくなりながら、体を前のめりにすると、ニヤついてた環はグラスを下げ__。


「中学時代、洸大がずぅっと片思いしてた子。……望月葵ちゃん」


あーあ喋っちゃったぁー、と燥ぐ環は、ケラケラ笑いながら、懐かしいでしょー?と言ってくる。



「お前、どうしてそれを…」


誰にも話したことなかったのに…と目を白黒させて問いただすと。


「ふふん、だてにいつも一緒にいた訳じゃないからね。洸大だけでなく、誰が誰を想ってるかなんて、大体察しが付いて当たり前」