卒業なんて言ったけど、毎日顔を合わせていたらできる気がしなくなってきた。私、臣のこと本当に諦められるのかな。すでに挫折しそう。臣がいるから仕事も頑張れるんだもん。

「なるほどね~。俺わかっちゃった。白鳥さんの好きな人」

来客の元へ戻っていく臣の背中を見送っていると、ポンと肩を叩かれた。嫌な予感がしながら隣を見上げると、いつからいたのか、ニヤニヤする三井さんが立っていた。

「都倉くんかぁ。なかなかハードル高いとこ狙うねぇ」
「な、何言ってるんですか。そんなんじゃないですから。たまたま書類を拾ってもらっただけで」
「そう? 俺には白鳥さんが女の子の顔してるように見えたけど」
「違います! 私、都倉さんのことなんて好きじゃありません」

思わず大きな声を上げてしまったから、臣が振り返りみていた。やだ、もしかして今の聞こえた?